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数日前の事を思い出す
ここの最近増えだした魔物の様子から、国の上層部は魔王復活の兆しでは無いのかと騒ぎ立てた
直ぐに勇者召喚の陣がある三カ国で行われる事が決まる
六百年前の召喚で成功した国はルディネル帝国だけ、当時の勇者の名は残っているが何故か巻き込まれた人物の名は残っていない
「その時の勇者もユキシゲと同じくらいの年頃だったか……」
隣で眠るユキシゲを見て、異世界の事情に巻き込んでしまったことはすまないと思っている
実際元の世界へと還す術は無いのに、この世界の為に命をかけろと言っている様なもの
「…………魔王は勇者にしか……倒せない、か……」
本当に?……自分は周りに最強だと言われているし自国には優秀な人材も居るのに…………試しもせず三カ国の王は……召喚する事を選んだ
民の心を安心させる為だけに
無性に腹が立った、所詮自分は王には逆らえない……だから、帝の……総帝という立場を下ろされる覚悟で……護衛をしないと国王に言い別の依頼を受け、国を離れた
ユキシゲに言ったことは嘘では無い、王女の事は本当に嫌いだ
「ん……」
「!…………寝返りしただけか…………」
こちらを向いたユキシゲの顔を眺める
初対面の印象は……目付きの悪いただの不良、話すと素直でよく表情も変わる
酒場の馬鹿どもは、表情が無いといったが……あの時はひきつっていただけだろう
ギルドに入るのを嫌がっていたし
マスターに居候させろと言われた時は冗談じゃないと思ったのに……ユキシゲが、そこら辺で寝泊まりするって言ったら
……よく分からないが、胸の辺りがモヤモヤして……居候させると言っていた、直ぐ誤魔化すように条件を出していた
自分でもよく分からない、どうしたのだろうか……?
静かな寝息をたてながら眠るユキシゲの髪に触れる
「見た目で損するタイプか…………?にしても……男同士だからと、警戒心を持たないのは……危ないな……」
この世界では黒髪、黒目は珍しい……居候させてる間に、自分の身を守れる程度には鍛えよう
「………………どうせ、総帝はクビだろうし……暫くは暇になるから、存分に出来るな……」
…………気は乗らないが、言えばあの二人も協力してくれるだろう
隣に眠る準備をし、目が覚めてからの事を考えていたら……いつの間にか眠っていた
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