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「冷蔵庫はあるのに中身は飲み物だけって」
簡単な物でも作ろうかと思って色々と漁っているが、食材の一つも見当たらない
あったものと言えば、非常食と書かれた缶詰が数個
「そういや、ギルドで食べてるって言ってたな……さて、どうするか」
「なにがだ……?」
「へ、っいだ!?」
後ろから声がかかり、驚いて冷蔵庫に思い切り頭をぶつけた
「っ~ぃて、いきなり声掛けんなよ!………………肩震えてるし、我慢せず思い切り笑えば!?」
「…………………………………………ク、クッ!!」
約三十分ほど声を押し殺して笑うクリムディ
「満足か」
このやろうと思い見る、目元にうっすらと涙が浮かんでいる
「…………フー……飯なら、ギルドに行くぞ…………クク、好きなの奢るから……機嫌直せ……ク、ク」
「行くのは良いけど、それ治まってからな」
思い出し笑いのせいか、表情が緩んでいる
これ見たら、あのおっさん達煩いだろうなと考えながら落ち着くのを待つ
~~~~~
ガヤガヤとしているギルドに入り、奥のテーブル席に座る
クリムディはメニュー表を渡してきた
「読めるのになんの料理か分からん、軽めのやつで頼む……食べた後に頼みたい事があるんだ、昨日の森に行きたいんだけど」
「……行けるが……どうしてだ?」
注文を聞きに来た店員に頼み、俺を見る
「…………一応、大事な物が入ってるんだよ」
「転移で直ぐだ……先に、マスターに会いに行くが良いか?さっき、来いと念話がきた」
「行けるんなら、後でも良い!」
話し終わったと同時に、注文したものがきた
俺の前にはスープにサラダ、種類の違うパンが三つ……は別に良い、クリムディの前に置かれたのは
ドでかいステーキ…………に付け合わせの野菜が数個
「?……それだけで足りるのか?」
「朝はあんま食べないから……むしろ、食欲無くなった」
どういう胃袋してんだよ……あ、野菜抜けてる
「その野菜、食べないのか?」
「………………」
無言……残す気か!
「野菜食えやアホが!!」
「グ!!!!」
フォークに差しクリムディの口の中に入れたら、周りがざわっとした
気にせず全部食べさせたら、顔が青くなっていた
「……食べ物じゃない」
「食べ物だよ」
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