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走っては休み、走っては休みを繰り返してようやくアスティア王国前に着いた
既に時計の針は深夜を回り、城門は閉まっている
ぼーと城壁を見上げていると呼ばれた
「ユキシゲ……こっちだ」
「おー今行く……深いな」
堀を見ながら跳ね橋を渡り、小さな扉の前にいるクリムディに近付く、その隣には門番が一人
二人は何かを話クリムディはカードを渡していた
「こんばんは」
「はい、こんばんは
ご用件は伺っていますので、こちらからどうぞ」
「は?っておい!……あ、どうも」
流れるように扉を開く門番、その横を先に行くクリムディに慌てて付いて行く
結構あっさりと入れたけど良いのか?
少し暗い道を歩くとまた扉がある
開き外に出ると、洋画などで見る中世の建物が並んでいた
様々な店や屋台が並び人々で賑わっている、この時間帯なのでやはり飲んでいる人が多い
美味しそうな匂いもしてくる
く~
「…………」
思わず立ち止まってしまうが人が多い為周りには聞こえてないはず……
考えてみればお昼以降は何も食べてない
ポケットに入っている財布を見るけど、通貨が違うよな
「ま、文無しだな」
早めにお金稼がないとなとか思いながら、クリムディの後を追おうと前を向くと姿が無かった……
はぐれたなーと呑気に考え、捜し歩き出したと同時に片腕を掴まれ引かれる
「っ!…………こ、の?」
今度は確認して蹴ろうと思い振り向くと、色々な食べ物を持ったクリムディの姿があった
何の串焼きか分からないが、食べながらその一つを差し出し
「……食え」
「え?」
「腹が鳴っただろ……」
「聞こえてたのかよ……」
片手で顔半分を押さえながら呟き、差し出された物を受け取り
見た目はなんだろうか、例えるなら昆布っぽい
「食わないのか?」
「南無三!…………………………意外とうまい、鶏肉っぽい」
「…………何だと思ったんだ……残りはやる」
同じような串焼きの他、袋には小さなパン数個に、果物等があった
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