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1.一番幸せな”私B”
―― 2018年6月 ――
自宅の地下室で見つけたハート型のスマホのような装置を使うと、私はパラレル世界Bの過去に飛んだ!
何故、そんな装置が地下室にあったのか謎だったし、最初は混乱した。
しかし、装置がパラレル・タイムスリップで、時空と次元を移動できるものだと、私は何とか理解した。
理解するしかなかった。
地下室はほとんど同じなのに、一階に上がると、全く違う家で、家具も壁も高級品ばかりだった。
テレビや新聞を見て、私は状況をだんだんと把握する。
私が飛んだここは、たった1ヵ月前の、2018年5月のパラレル世界Bなんだ。
ただし、元の世界とは似ても似つかない、全く異なる世界だ。
元の世界Aでは、私は父子家庭で、父は居酒屋でバイトをしていたが、世界Bの父は、帝旺大学の教授だった。
自宅も、殆ど廃墟のようなボロ小屋で、台風が来る旅に命の危機を感じていたのが、世界Bでは、こんな大豪邸だ。
私は誰もいない豪邸を幽霊のように彷徨う。
世界Bの私の部屋で、日記やパソコンを見つけ、悪いと思いながらも、自分だからと覗いた。
それらの内容からすると、世界Bでは、私Bは帝旺大学に通っていて、超イケメンお金持ち彼氏がいるらしかった!
世界Aの私は、アルバイトを掛け持ちし、大学に入るためのお金を貯めていたが、それとは大違いだと私は驚く。
「1日だけならいいか」
そう呟いた私は、憧れだった帝旺大学で、私Bのフリをして楽しもうと大学へ向かった。
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