フェンスの向こう

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あの時、公園のフェンスの向こうに見えたのは、少し不安な二人の明日。 離れないと誓ったのは、ほんの半年前のこと。 二人の間を木枯らしが吹き抜けていくから、君の肩にもたれてみた。 黙りこんだまま歩いているだけじゃ伝わらない。君に何か言わないと。 だから、かじかんで繋いだ手を少し握り返してみた。 これからも、このまま一緒にいられるのかな。 その言葉に、君は少し笑ってくれたよね。 夜空を超えて、いつまでも、今までの25年みたいに。 これからも、ほんの半世紀。たった半世紀。 毎日毎日こんなふうに。 笑いあえると信じていた。 どこで、空回りしたのかな?すれ違ったのかな? なのに、あの時、さよならを言った君。 その背中に、どんな言葉を送れば良かったの? あの哀しみは、涙しても流れ去らない。 夜空を流れる星に託せば良いの?  君の未来を支えられるくらい強くなるから。 私は、なにひとつ変わらないから。 いつ帰ってきても大丈夫。 あの窓は開いているから。 夜空の向こうから帰って来て欲しい。
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