本篇

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 ――流石に、これは通報レベルだよな……  あまりにも情け無い戦闘風景に常識的判断を取り戻しつつも、ここで声を上げられないチキン野郎の俺は、それでも勇気を振り絞り、ガラケを手に取るのだが……  ――繋がらない!?  電源が入っていないわけでも電池が切れているわけでもない。  信じられない事に、市街地でありながら、電波が何処にも届かないのだ。  ――今度こそ、俺が大声を出さなきゃまずいのか……  そう思った刹那、奇跡は起きた。 「いやああぁぁぁぁ―――!!」  アリアの絶叫が夜空に響き渡った瞬間、次郎の身体は仰向けに吹き飛び、後頭部からその場に倒れたのだ。  ――衝撃波……懐かしの[イヤーボーン]て、奴か!!  ここに来て、ようやく超常バトルが始まるのか、と思った俺は、再び落胆することとなる。  何のことはない。少女は悲鳴を上げただけに対し、男は自分が投げ散らかした空き缶に足を滑らせ、転んだだけなのだ。  これをチャンスと捉えたのか、アリアはビールケースに刺さったナイフを取り戻し、立ち上がろうとしていた次郎の頭を思い切り殴打した。  ボグッ!!  殴られた次郎は、あまりの激痛に、その場に蹲る。  ――ボグ?
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