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刹那、アリアはナイフを振りかざし、俺に向かって襲いかかってきたのだ。
「……光に帰れぇ!!」
鬼のような形相で向かってくるJKというものは空恐ろしいもので、しかも、彼女は先程まで[みみっちくも壮絶な聖戦]を繰り広げていたのだ。当然その結果、一人を殺害している。
こうなると、一人殺すも二人殺すも同じ事で、今、まさにアリアは俺を標的にしているのだ。しかも、先程以上に、執拗に、狂気に染まり血走った目を向けて……
俺は反射的に逃げ出していた。
生存本能の成せるワザなのか、これまで全く動くことがなかった足が、全力で稼働し、俺をあの恐るべきJKから逃亡させてくれていたのだ。
後ろを振り返ることは出来ない。
おそらくは、ナイフを振りかざしたアリアの顔が間近に迫っているのが見えてしまうから……
ひたすらに前だけを見て走る。
周りの状況などまるで見えない。
唯一、見えるのは満天の星空のみ……
俺は星々に願った。
――こんな出会いなら、もういらない!
走りながら、逃げながら願った。
――俺を、普通の生活のある世界に戻してくれ!!
子供の頃以来、久しぶりに、本気で夜空に願ったのだ。
アリアという少女が、その[星々の使徒]であると云うことを忘れて……
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