本篇

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 既に時間は22時を過ぎていた。  東口から駅を出て、LRT駅建設予定地となっている駐車場地帯の、隣接する、仮設店舗のような餃子店が並ぶ商店街を通り抜けようとしていたときだった。  件の少女が、店舗の間に入っていったのだ。  この時間、全ての店が閉じ、照明も消されていた。当然無人である。  にもかかわらず、あの少女は危険な暗闇に進んで入っていったのだ。しかも、その顔に決意と覚悟を決めたような表情まで垣間見えたのだ。  俺は思わず、少女の後を付けた。よく考えれば、近くに交番もあり、そこに通報すれば良かったのだろうが、何故かその時は思い浮かばなかった。もしかすると、本当に非日常的な[出会い]があることを、何処かで期待していたのかも知れない。  その期待はある意味、現実の物となった。  それは自分が想像していたものとはずいぶんと、かなり、大幅に、いや、斜め上に異なるものだった……
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