本篇

5/16
前へ
/16ページ
次へ
 ――これって、傍目見るだけなら、良くありがちな超人バトルものの始まりみたいだが、実際に見ると、[痛い]ものだよな……  などと考えている内に、少女に対する、男の会話による挑発が続いていた。 「光の使徒どのは、一つ勘違いをしている……」  一息ついて、言葉を続ける。 「人間とは、元々そう言う生き物なのだよ……我は何千、何万もの年月の中、永きに渡り転生を繰り返し、人間どもを観察し続けてきた……そこで見たものは、背徳に溺れ、強欲に貪り、結果、自らを滅ぼす醜き姿……これは、我らが仕向けたのではない。そも、未だ世界では、我らの関与無くともいくらでも争いは絶えないではないか……」  男は鼻で笑い、自身にとって、おそらく決定打となる台詞を放つ。 「……即ち、人の滅びは因果横暴というものだ!」  ――まぁ、そう言う方向に持って行くだろうな。しかし……  両手を振り、大仰な仕草でありがちな口上を述べる男ではあるが……  ――因果横暴?  たぶん、因果応報と言いたいのだろうが……  それに、関与していないのなら、結果、男に罪はないのでは……  と、言うより、自分で存在意義を否定していないか? マント男は……
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加