本篇

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「だまれ!」  少女も反撃するようだ。 「……確かに、人間は愚かで、無知で、それでいて欲望を満たすための争いを止めることのない、どうしようもない生き物です……」  やはり少女も、ここで一息ついた。 「だからこそ、私達は天啓を携え、この世界に転生してきたのです……人間をより良き方向に導くために……そして、その為の障害となる、其方ら闇の使徒を葬るために!」  よくよく聞くと、こっちも決して、人間によい感情を持っている訳じゃなさそうだ……これは要するに、勢力争いの一種か?  言葉の直後、少女はその左手を天に向けて翳す。 「……我、星ノ宮アリアが命ずる。闇を切り裂き、光を授ける慈愛の剣……天の導きを得て、今こそ封印解き、降臨せしめよ……[白き星の聖剣メテオカリバーン]!!」  何か、いよいよそれっぽくなってきた……  などと、のんびり言っていられる状況ではない。  アリアと名乗る少女が天に向けた左手に、そう、例えるならば、[星が降ってきた]のだ。その目映い光を放つ[星]だったものは、すぐに形を変え、一振りの剣となった。  剣と言っても、それは鞘突きのナイフみたいなものであったが、拵えの全てが目映い輝きを放つ銀で作られており、所々に配置された彩りの良い貴石が神秘的な雰囲気を漂わせている。  俺は心の底から驚いた。驚いたなんてものじゃない。今までアニメでしか見たことのないビジュアルが、こうして現実のものとして目に飛び込んできたのだ。 「覚悟なさい……塵一つ残さず、存在そのものを抹消して差し上げましょう!」  アリアはそう言って、鞘から抜かれた、複雑な刃紋を浮かべた美しい刀身を男に向けるのだが……  ――今、慈愛の剣って、言ったよね……  塵一つ残さず……少女の言う[慈愛]って、「楽に死なせてやる」くらいの意味合いなのか?  それにしても、名前が嘘っぽい……もしかしたら、[転生名]とか言うのか。
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