5人が本棚に入れています
本棚に追加
やがて軍手をはめた子供達が飯ごうの蓋を外して、米の炊き具合に歓声を上げる頃。
瀬尾が戻ってきた。
「ダメだ。なんにも釣れなかったよ」
「毎年だろ。少しは上達しないのか」
「いや、オレが来ると恐れをなして逃げ出すんだよ、ここの魚達」
「カレー、ちょうど出来たぞ。食いっぱぐれない野生の勘だけは、相変わらずだな」
「そんなに誉めるなよ、照れるだろ」
「こんなのもあるぞ。今年はチリワインの良いのが手に入った」
「お、流石! やっぱ持つべき物は気の利く友人だな」
「まだ何本か、合宿所の冷蔵庫で冷やしてるから。まぁ、座れよ」
最初のコメントを投稿しよう!