3. 燻焔

3/4
前へ
/15ページ
次へ
 やがて軍手をはめた子供達が飯ごうの蓋を外して、米の炊き具合に歓声を上げる頃。  瀬尾が戻ってきた。 「ダメだ。なんにも釣れなかったよ」 「毎年だろ。少しは上達しないのか」 「いや、オレが来ると恐れをなして逃げ出すんだよ、ここの魚達」 「カレー、ちょうど出来たぞ。食いっぱぐれない野生の勘だけは、相変わらずだな」 「そんなに誉めるなよ、照れるだろ」 「こんなのもあるぞ。今年はチリワインの良いのが手に入った」 「お、流石! やっぱ持つべき物は気の利く友人だな」 「まだ何本か、合宿所の冷蔵庫で冷やしてるから。まぁ、座れよ」
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加