願う少女

私は夜勤明けで帰宅し、エアコンフル稼働の部屋で爆睡後１６時頃病院に
戻った。夕方に結衣ちゃんを連れて久美子さんが再び病院を訪れた。

ふと二人の服装が気になった。

夕方多少涼しくなったとはいえ、二人とも長袖にパンツスタイルなのだ。
そういえば昨夜の結衣ちゃんのパジャマも長袖だった。

そんなことを考えていると、結衣ちゃんが近づいてきた。

「ここって、おホシさまがみえるところ、ある？」

この病院の屋上には庭園があり、入院患者や見舞いの方のために開放されている。
晴れた日には夜空が一望できることから、９時過ぎまで自由に出入りできるように
してある。

私は結衣ちゃんをそこに連れて行った。彼女は空を見上げるとキョロキョロと
何かを探しているようだった。そして目当てのものを見つけたのか、駆けていき
胸の前で両手を合わせて組み、じっと夜空を見つめた。

その姿を見た私は、父親の無事を願って祈りを捧げているのだと思った。