第3章 行方不明の流理

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「お母さん。流理ちゃん山の麓の道具小屋の中にいました。 本人は山へ登ったというんですが、服も濡れてないし、たぶん小屋に入って寝てしまって管理のものが知らず鍵をしめてしまったようです。 台風のせいで誰もその後小屋に行かず1日半閉じ込められてたようです。」 消防隊員が、流理が見つかった時のことを説明してくれた。 「お母さん、本当に山に登って迷ちゃったんだよ。 それに雨も降ってなかったし、山で知らないおじさんに会って遊んでもらったの。噴水もある公園みたいにきれいなところでお花も一杯咲いてたよ。」 「おじさんって?雨もひどかったでしょ?それなのに花?」 流理が不思議なことを言い出す。 「たぶん 夢とごっちゃになってるんでしょうね」 と横でさっきの隊員がそう行った。 「夢じゃないもん。ほんとだもん」 「はいはい、そうかもね。」 隊員は流理の頭を撫ぜた。流理は赤いほっぺをぷーと膨らまし不機嫌な顔をした。 私は手続きをするように言われ、必要書類に簡単に書き込んだ。 「おなかすいた。おかあさんご飯。」 手続きが終わるのを待っていた流理が横でそうつぶやいていた。 かなりペコペコらしい。 しかし1日半行方不明の割には元気なのが不思議だった。 「はい ご飯食べようね。 皆さんありがとうございました。お世話になりました。」 私はお世話になった隊員の皆に挨拶をして流理の手を繋ぎ、消防署をでた。
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