第3章 行方不明の流理

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「お母さん」 「ん?」 「おじさん、お母さんのこと知っていたよ」 「え?」 「お母さん可奈っていうのって言ったら、ぎゅーってハグして肩車もしてくれたよ。 おじさん写真のお父さんにも似ていたよ。あれ?髪は銀色の髪だったから違うよね。お父さん黒髪だよね。 そんでおじさん、王子様のようなかっこいい服着てたよ。」 もしかしてリュートが 流理を助けてくれた?...... リュートの髪は地球にいる時は黒髪に変えていたが、元は銀髪だ。 「お母さんによろしくって。必ず会いに行きますって。夜空の星を見ながら、いつもお母さんと私が元気でいるよう祈ってますって。」 リュート...... あなたも......いつも夜空を見上げて私たちのこと想っていてくれたのね。 流理から伝えられたその言葉に心が揺らされ、目頭が熱くなる。 「そっか、そのおじさん、たぶんお父さんだよ」 私は涙が出そうになるのをごまかしながら、そう言った。 「やっぱりそうかと思った。なんでお父さんだっていってくれなかったのかな、もう。 あーお父さん、いつ会いに来てくれるのかな?」 「そうね。お父さんの病気が治ったらね。」 「会いに行けないの?」 「遠いし、お母さん宇宙船持ってないしね。」 「えーじゃあ お父さんきてくれなかったら、私がお金ためて宇宙船乗って行くー」 「期待してるわ。」 「期待していいよ。私、能力ある女だもん。」 私は流理と同時に笑った。 空を見上げると、台風明けのスカッとした青空だった。 私は空を見上げ祈った。 流理が無事でいてくれたことに対する感謝と、リュートへ想いを祈りに乗せて...... この空がリュートに繋がっていて、彼もいつもこの空を見上げていると思いながら...... 想いは時間と空間を越える。
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