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外に出ると、台風が遠ざかり雨が止んでいた。
玄関横の木の隙間から差し込む朝日は、眩しくて目がチカチカした。
消防署に行くと、控え室に通された。
そこのソファーに毛布で包まっている流理が座っていた。
「お母さん」
「流理」
私は我が子を毛布ごと抱きしめた。
「怪我はない? なんで山になんて......」
流理の頬を両手で包み髪を撫でた。
流理は「ごめんなさい」と小さくつぶやき私の胸に顔を埋めた。
「高いところで祈ったら空に近いから......願いがよく効いてもらえると思って。」
「馬鹿!」
目に涙がたまって、娘の顔がぼやける。
とにかく無事でよかったと、流理を強く抱きしめた。
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