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人間界の出来事-3
快の眞那への思いは複雑だった。
快が芸能活動を辞めてからは二人は疎遠になっていた。眞那のことを意識して応援することはなかった。快は何をしても優秀な眞那を見ていると自分の能力のなさが浮き彫りにされるような気がして、無意識のうちに避けていた。それでも有名な眞那を目にすることは多々あったが…。
高校のとき、友人に連れられて行った映画に眞那が出演していた。それは快にとってまったくの偶然だった。
快は久しぶりに眞那をじっくりと見ることになった。スクリーンには子役の頃とは違う大人の眞那がいた。
大画面の眞那を見たその瞬間、快は恋に落ちた。それはアイドルへの憧れではなかった。普通の男子ならただの熱狂的なファンになったのかもしれない。
だが、快はなまじ眞那の子どもの頃を知っていたばかりに眞那を身近に感じた。アイドル(偶像)ではなく、一人の女性として。
だが快にとって眞那は遠い存在に違いない。
快はあきらめた。
恋に落ちたその日が失恋日になった。
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