2人が本棚に入れています
本棚に追加
眞那が出演しているのはニュースなども扱う総合バラエティ番組だ。そのワンコーナーで独占インタビューを受ける。
今、眞那には大きな噂があった。公開中の映画に関する質問がインタビューの表の名目だが、歯に衣着せぬことで知られている司会者がその噂の核心に迫るのは間違いなかった。
眞那は芸能活動をしながらも学校の成績は図抜けていた。超難関私立中学校に合格し、話題になったが、東大理Ⅲに現役合格したときは日本中で大騒ぎになった。
理Ⅲと言えばほとんどの人が医者を志す。噂とは眞那が医者になるために、芸能界を引退するのではないかということだった。
「まだはっきりと決まっていませんが、多分そうなると思います」
快は眞那のあいまいな言葉とは裏腹にその瞳に強い意志を感じた。はっきりしないのは契約などの大人の事情があるからだろう。
「医者になりたいって思ったのはいつから?」
「実は医者というのは父の夢なんです」
「えっ、自分の夢じゃないんだ…じゃあ、自分の夢は?アイドルとかかな。それだったらもう実現してるよねー」
「いえ、この世界にっていうのは母の夢なんです」
「ええー?じゃあ自分の夢は?」
「もちろん、ありますよ」
テレビの眞那はにっこりと笑っていた。
「それは何ですか?まだ実現してない?」
眞那はうなずいた後、内緒ですと言って、照れたように笑った。
いくつかの質問の後、男性関係の質問に映ったが浮いた話のまったくない眞那に話は広がらなかった。
司会者は最後に当たり障りのない趣味の質問をした。
「趣味は何でしたっけ?忙しすぎてできないでしょ?」
「そうですね。移動時間に音楽を聴くくらいかな。あっまだ始めてませんが、陶芸に興味があります」
「陶芸?芸能界続けるにしても医者の道に進むとしても忙しくなるでしょ。難しいんじゃないかなー。老後の楽しみにとっておくとか」
「いえ、何とかやってみたいんです」
最初のコメントを投稿しよう!