7.芽吹いた生命   

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妊娠がわかったアタシは、そのまま実家へと直行して、オカンに報告をする。 「良かったわね。  嵩継君も喜ぶわね。お父さんも大変よー。  本当は今日にでもお祝いしてあげたいけど、  氷夢華も嵩継君にお話ししなないといけないでしょ。  落ち着いたら連絡してきなさい」 そう言うとオカンも嬉しそうに微笑んだ。 マンションに戻ると、アタシは兄貴に「兄貴、今日は予定通り帰ってこれる?」っと メールを送信する。 「どうかしたか?  体調、悪化したなら病院来いよ」 なんて、まだアタシの妊娠を知らない兄貴は、 このままじゃ、帰ってこない気がして……告げる。 「兄貴が帰って来るまで待ってるよ」 それだけ告げて、アタシはベッドの中で微睡んだ。 今は……ただ眠たくて。 少しだけウトウトしたかっただけなのに目覚めた時には三時間くらい過ぎていて、 寝室のアタシのベッドに兄貴は腰かけて、アタシの方をじっと見ていた。 「あっ、お帰り……」 「あぁ。  ったく、無茶ばっかりしやがって」 そう言いながら兄貴は、アタシの髪を優しく撫でる。 「ねぇ、兄貴。  アタシの愛、兄貴以外にも分けたいんだけどいい?」 我ながら、わけわかんないこと言ってると思う。 兄貴は突然の申し出に、苦笑いしてる。 「兄貴っ、アタシは兄貴のことが大好きだけど……  もう一人、愛を注いでもいいかな?」 そう言いながら、芽吹いてくれた命が宿るお腹へとそっと手を当てる。 「ったく……お前は。  今頃、自覚したのかよ……」 兄貴は呆れるように呟いた。
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