7.芽吹いた生命   

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「兄貴、知ってたの?」 「氷夢華のことだったら、ずっと見てるからな。  氷夢華、元気な子、産んでくれよ」 兄貴はそういって、アタシを優しく抱きしめた。 鷹宮で産婦人科を受信したら、すぐに広まってしまうから わざと遠ざけたはずなのに、兄貴はすでに手を回していて、 私たちの主治医は、兄貴が信頼した先生へと依頼された。 先の病院のドクターへのケジメもきっちりとした後、 アタシたちの出産までの道程が始まった。 兄貴が次から次へと手をまわして、 アタシの勤務環境はガラリと変わった。 週五日入っていたシフトは週三日に減らされて、 仕事内容も被爆リスクが少ないが中心になった。 何時の間にか、兄貴が購入してくれていたのは磁場除けの腹巻。 アタシは出産のその日まで、 兄貴や水谷さん・オカンの優しさを感じながら過ごし続けた。 突き出るように尖ったお腹をさすりながら、  その年の秋に臨月を迎えた。
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