流星群にホームランヒットを

2/2
前へ
/2ページ
次へ
 B社製の流星群が降りそそぐ夜。金属バットを片手に、僕は街を駆け抜ける。流れ星が落ちそうな地点に狙いをつけ、僕はがむしゃらにバットを振り、ホームランを狙う。御社で働かせて欲しい、と願いをこめて!  これを就職試験と言ったら、だれもが耳を疑うだろう。けれど、事実だ。現に、僕と同じようにリクルートスーツを着た人々がバットを振りまわしている。  キラリと尾を引き、流れ星が降ってきた。僕はライバルたちを押しのけ、ここぞとばかりにバットを振る。  ゴキンッ。鈍い音がライバルたちを震わせ、夜空にホームランのメッセージを浮かびあがらせた。内定が決まった瞬間である。  そして、見事に打たれたB社の社員が宇宙のどこかに左遷されていく。  僕は再び願う。  配属先にどうかあの社員の方がいませんように、と。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加