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戒斗が普通にやれているのはトンボ玉作りだ。
今日、仕事はなかったはずが、午前中は用事があるとかで、戒斗は午後からたか工房を訪れた。
それからすぐ、クローバーのストラップを作りだしたのだ。
最後の一個。
黄色いガラスに鮮やかなグリーンのハートを描くと戒斗は顔を上げた。
その瞳が可笑しそうな様で叶多を見やる。
「まるでコーギーだな」
「コーギー?」
「髪、短くなってチョコチョコ跳ねてそうな感じだ。従順そうに見えて飼い主に咬みつく」
「咬みついてないよ」
「巡り巡っておれは痛い目に遭わされてる」
若干、責めるような声が向いた。
云いがかりだ。
とはいえ、あの一大事から、まだなのかもうなのか、二カ月では戒斗の気はまだおさまらないのだろう。
デビュー三周年のツアーやイベントが目白押しといういま、戒斗は泊まりで出かけることが多い。
だからよけいなのか、たまに、叶多にとってもたいへんな日が巡ってくる。
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