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「よく一緒にいて飽きないな」
机の傍に来て云ったのは孔明だ。
見上げると、呆れているというよりは小難しい顔に合った。
「飽きるって気持ちがわからないかも」
「わからなくていい」
戒斗がすかさず口添えして、叶多のくちびるがめいっぱい広がる。
一方で孔明はますます眉をしかめた。
「しかし、戒」
「なんだ」
「蘇我と有吏の約定のことだ。聞いたんだが、おれの相手は最終的に叶だったらしいな」
孔明が云ったとたん、戒斗がピリッとした空気を発した。
「だれが云った?」
「代表だ」
即ち、隼斗に違いなく、戒斗は苦虫を噛み潰したような顔つきになった。
叶多は当たらず障らずでいようと口を噤んでいることにする。
「戯れ言だ」
「惜しい気がするのはなぜだろう」
戒斗の言葉は無視して、孔明は考えこんでいる。
そこへ陽がやってきた。
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