Epilogue Glass Tear

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「孔明、おまえは最終でも、おれは最初の許婚だ。つまり、おまえはどうやってもこいつを手に入れることはできない」 陽はまったくもって無用に叶多を指差した。 雷神カイトから稲魂が発生しそうな気配になる。 すくなくとも静電気は発生した模様だ。 「無駄な議論だ。そんなことを考える暇があるんなら、孔明、父親と兄貴を改心させろ。渡来、おまえはおれが気に入るようなバイクを早くつくれ。乗れなくてイライラしてる」 陽と孔明は顔を見合わせる。 苛々しているのが本当にバイクに乗れないせいならいいけど、と思いつつ叶多はそっと椅子からお尻をずらした。 バイクについては、買ってあげる、と云ったのはいいものの、戒斗が欲しがるレベルは百万くらいすると聞いて唖然とした。 叶多にとっては大金だ。 三つの貯金箱に溜めていたガラスの売り上げ分を掻き集めてみたのだが、五分の一もない。
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