はじめまして

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突然雨がやんで、瞼から透けて見えていた光がなくなった。 俯いたまま目を開けると、目の前にかわいらしい真っ赤で小さな長靴がちょこんと立っていた。 ゆっくりと顔を上げてその長靴の主を見ると、ふわふわとした茶色の髪の毛を二つ結びにした女の子が、僕に傘を傾けてそこにいた。 「寒くない?」 彼女のふっくらとしたピンク色の唇が、1つ1つの音を丁寧に紡ごうとするかのように、ゆっくりと動いた。 僕は何も言えなくて、ただじっと彼女の顔を見つめていると、彼女も僕の目を覗き込むように見つめてきた。 彼女の瞳は髪と同じように茶色がかっていて、その中で小さな僕が僕を見ていた。
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