Wish upon a STAR

2/5
前へ
/5ページ
次へ
 願い星は、時に気まぐれに地上に降る。  その時、中山(なかやま)一家は、何百年に一度の大流星群を眺めていた。  お父さんはウィスキーをちびちびやりながら、ベランダの外を指した。 「ものすごい数の流れ星だな。願い事が叶いそうだ」  星よりもテレビ画面に映る韓ドラに注目するお母さんは、笑った。 「何バカなこと言ってんの。あ、ミカ。にゃーすけにゴハンあげて」  一人娘のミカが、ペットの猫にゴハンを用意する。カリカリに大好物のかつおぶしを載せられ、にゃーすけは大喜びで寄ってきた。 「ねぇねぇパパ、ママ。もしも願い事が叶うなら、何がいい?」  旺盛な食欲を見せるにゃーすけから目を離し、ミカが両親に尋ねた。  だが、両親はふふっと笑って、本気にしなかった。  その時だ。  突然、窓の向こうがピカっと光り出した。雷よりも鮮烈な閃光に、中山一家は全員が目を閉じる。  するとーー頭の中で、『声』が響いた。  “……ますか……聞こえますか……”  “中山一家よ……私の声が、……聞こえますか……”  さやさやとした見知らぬ、いや耳知らぬささやき声に、中山一家は騒然となった。  “今……あなたたちの魂に直接話しかけています……”
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加