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願い星は、時に気まぐれに地上に降る。
その時、中山(なかやま)一家は、何百年に一度の大流星群を眺めていた。
お父さんはウィスキーをちびちびやりながら、ベランダの外を指した。
「ものすごい数の流れ星だな。願い事が叶いそうだ」
星よりもテレビ画面に映る韓ドラに注目するお母さんは、笑った。
「何バカなこと言ってんの。あ、ミカ。にゃーすけにゴハンあげて」
一人娘のミカが、ペットの猫にゴハンを用意する。カリカリに大好物のかつおぶしを載せられ、にゃーすけは大喜びで寄ってきた。
「ねぇねぇパパ、ママ。もしも願い事が叶うなら、何がいい?」
旺盛な食欲を見せるにゃーすけから目を離し、ミカが両親に尋ねた。
だが、両親はふふっと笑って、本気にしなかった。
その時だ。
突然、窓の向こうがピカっと光り出した。雷よりも鮮烈な閃光に、中山一家は全員が目を閉じる。
するとーー頭の中で、『声』が響いた。
“……ますか……聞こえますか……”
“中山一家よ……私の声が、……聞こえますか……”
さやさやとした見知らぬ、いや耳知らぬささやき声に、中山一家は騒然となった。
“今……あなたたちの魂に直接話しかけています……”
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