願いの値段

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宇宙連合環境協会は願い事の成就代金の支払いが出来ない人間のために、仕事を斡旋して代金を帳消しにしていた。 それが明日私が行く宇宙清掃局だ。 私はこれから数日間にわたり、泊まり込みで宇宙を清掃しなくてはならない。 いつも下から見上げるこの美しい星空は、いざ宇宙に来てみるとそこは宇宙に住む者達のゴミで一杯だった。 空き缶や鉄くずや生ゴミの他に私達が見たことも無い素材のゴミで溢れかえっていた。 彼らは文化的水準は高いらしいが、どうも掃除が苦手のようだ。 この清掃の仕事は嫌いではないがとにかくキツかった。 特に雨が降ると視界は曇るし防護スーツの中は湿度があがり不快指数はマックスになる。 宇宙はほぼ土や岩でできているため、ぬかるみに足を取られ作業効率は悪くなり労働条件は最悪だ。  澄んだ夜空を見上げ、ため息をつく。  ここから見る分にはこんなにキレイなのに── 「あー。マサヤの為にがんばるっきゃないかぁ!彼女になれるその日まで!」 私は冷蔵庫から発泡酒を取り出しプルタブを引いた。 プシュリ、と耳に心地よい音がする。 ふふっ、マサヤのことを考えるとなんだか、前向きになれるから不思議だ。 発泡酒を一口流し込み、夜空にマサヤの笑顔を投影する。 きゃっ、瞳のあたりから流れ星が流れた。 もう酔ったのかしら、とてもいい気分。 「明日も晴れるといいなぁ」 マサヤの笑顔にそっと呟く。 オヤスミ、マサヤ。 ほろ酔いでベッドに倒れ込み、そのまま深い眠りについた。 ピンポーン 嫌な予感がした。 まだ早朝、バイトの迎えには早い── 扉についている魚眼レンズの向こうで腕章をみせつけながら佇む男が言う。 「まいどー。本日の晴れの件の料金を徴収にまいりましたー」
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