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願いの値段
「うそ……また叶っちゃった!」
ワイドショーで流れるマサヤの破局報道に私は胸を躍らせる。
あんな女、マサヤには似合わない。マサヤにはもっと聡明で優しくマサヤのことを一途に想う女性がお似合いなのだ。そう、私みたいな。
「マサヤの次の彼女になれますように」
今夜も私は夜空へ願いをかけた。
ピンポーン
時計の針は夜の11時過ぎを指している。こんな時間に誰だろう?
まさか……マサヤ?
もう願いが叶ったのだろうか?
高鳴る胸の鼓動を押さえつつ、ドアチェーンを外し扉を開けた。
「ちーす。毎度ありがとうございます」
扉の向こうにいる黒いスーツを着た男が”宇連会”と書かれた腕章を私に見せつけながら、気持ち程度の会釈をした。
マサヤじゃない──
落胆した私にたたみかけるように彼は言う。
「料金の回収に来ました。しめて263万5000円ですね」
「うそ?そんなに?」
「えーと内訳は、大神マサヤさんのコンサートチケット抽選祈願、大神マサヤさんの新曲ヒット祈願、大神マサヤさんの握手会当選祈願、大神マサヤさんとアイドル歌手まーりんさんとの破局祈願……等の成就代金ですね」
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