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「あっ…!? パパ見てっ! ほらっ、
あそこっ! ママだっ…!! 僕の誕生日
だから…ママがっ…ママが会いに来て
くれたんだっ!」
息子の視線の先には、異常なまでに光り輝く
オリオン座があった。私は息子の奇妙な言動に
少し戸惑いを感じていたのだが、それが何を
意味するのか直ぐに理解出来たのである。
「…オリオン座……、はっ…!? そうか…
あいつの…流美の生まれつきのアザ……。
そっくりだ…あの星と流美のアザ……」
私の嘘は現実になったのだ。
他界した妻の左胸には生まれつきのアザ
があった。それは、オリオン座の形に驚くほど
酷似していたのである。その形は、甘えん坊の
乳飲み児だった息子の脳裏に深く刻まれていた
に違いない。
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