二人の騎士(ナイト)~学~

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「他にはどこか触られたか?」 「触られてない」 「本当かよ」 「うん」 「なら、良かった」 クシャっと私の頭を撫でると「帰るか」と車のエンジンをかけた。 私も学もマンションに着くまで、あの男のことは一切話はしなかった。 聞きたいことは沢山あった。 フォックスと名乗っていたあの男の正体。 あの雑居ビルをどう見つけ出したのか…… きっと学だって、あの男のことを私に聞きたいはずなのに。 「落ち着いたら久辺に連絡入れておけよ」 学の意外な言葉に驚いた。 「あいつだって椿のことを心配だったから、あのビルを探し出したんだしな」 「……うん」 そう答え窓の外に視線を向けた。 見慣れた景気にホッとした。
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