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京也に云われるまま、俯きそうになる顔を上げて鏡に映る自分の姿を見る。
何度も欲を吐き出した自身は未だ蛸足に責め立てられ大きく紅く張り詰めていて、涙と汗でぼろぼろの朱い顔は瞳をすっかり蕩けさせて喘ぎ続けている。
心はもう限界を訴えているのに、内側で蠢くモノは敏感な部分を何度も何度も擦り上げ、熱く火照った体は更なる快感を求めて腰を揺らす。
コレハ、誰?
アラレモナイ姿デ淫ラに腰ヲ揺ラス、快楽ダケヲ求メテ縋ル、娼婦ノヨウナ、コレハ。
───ああ。この男の云う通りだ。僕はなんて淫乱で。
何度目か分からない欲を吐き出し、辰樹の意識は途切れた。
「───さい、起きなさい。辰樹」
何度も呼び掛ける声に、辰樹の意識がゆっくりと浮上する。
薄っすらと重い瞼を持ち上げると、視線の先で京也が見下ろしていた。
体を拘束していた物はいつの間にか全て取り払われている。
「シャワーだけでも浴びて、“自分の部屋”で眠るんだ」
何故、とぼんやり考えて、雪也が戻っている事を思い出した。
この部屋の事も、京也が毎夜辰樹に行っている事も、雪也は何も知らない。
気怠い体を無理矢理に起こして足を進めれば、中が擦れて先程の余韻が未だ辰樹の体を火照らせる。
あんなに責め立てられて、まだ足りないと云うのか。
辰樹はバスルームに向かいながら心の内で自嘲した。
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