0人が本棚に入れています
本棚に追加
小さかった僕はそう言いながら、父に抱きかかえられながら笹の木に短冊をつけた。
「でも僕、怖がりだからパパみたいに強くなれるかな?」
「パパだって怖がりだよ」
父はそう言いながら、抱きかかえた僕を下した。
「でもパパは、警察官で悪者をやっつけているんでしょ?」
「う~ん、確かに悪者をやっつけることもあるけど、パパだって怖いよ。でもパパは困っている人を助けるために悪者をやっつけてるんだ。誰かを守るときにこそ、人は強くなれるんだよ。だから康一も強くなれるよ」
父はそう言いながら、小さかった僕の頭を撫でてくれた。
僕はもう一度、目の前にある短冊を読んだ。
『パパのようになりたい』
僕は空を見上げると、七夕には珍しく今日は天気がいい。星がきれいに見えた。
僕は貴志を探しに駆け出した。
最初のコメントを投稿しよう!