0人が本棚に入れています
本棚に追加
これも後で知ったことだったけれど、斜面を滑り落ちた先が彼の言っていたその場所だったらしい。意図せず、本来の道筋を省略していたということらしかった。
「でもちゃんと見つけてくれて、ギュッてしてくれたもんね」
『……それくらい心配してたんだよ。おじさんやおばさんだって、そうだったろ?』
「うん」
お母さんが泣きながら手当をしてくれて、その後にお父さんから夜通し説教を受けた。お父さんは普段は穏やかだったから、それだけ心配を掛けたんだと、改めて自覚してまた泣きそうになったんだ。
無鉄砲な行動をして、色んな人に心配を掛けて。たくさん泣きながら、一人きりでいることの辛さを知って。
……そして、大切な人の存在に気付くことが出来たんだ。
「何か……ちょっと似てるね」
『? 何が?』
「この星空。まるで、あの日みたい」
ここは地元より明かりが多い。景色もそれほど開けていなくて、実際は、きっとあの日の空の方が綺麗なんだろうけど。
それでも大切な人の声を聞きながら、私はまたそれを見上げている。同じものを、きっと遥也も見ているんだろう。
だから、やっぱり似てるんだ。
『うーん……そうか?』
「そうだよ」
どこで見上げたって、君と一緒に見上げていられるのなら――。
最初のコメントを投稿しよう!