あの日の空に似て

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――――――――――  神社の本殿の裏。そこにはかなり古くて背の低い柵が設けられていて、一応裏の森への立ち入りを禁止しているように見える。けれどそれはある所で途切れていて、ろくに整備はされていないものの、その先には木々の間を抜けていく道が確かにあるのだった。  ここを抜ければ森を挟んで反対側にある小学校への近道が出来ることを、この辺りに住んでいる子供は少なくとも常識のように知っている。私もその一人だ。  きっと何の自慢にもならないだろうけど、これでも昔は結構活発な子供だった。当時は少し引っ込み思案だった幼馴染みの子を連れて、よくこの森の中を駆け回ったりもしていた。だから常連、と言えなくもないかもしれない。  まあ、来ていたのは大体昼間のことだったんだけど。  祭りの明かりがだんだん遠ざかっていく。気付くと、頼れるものは仄かな月明かりだけになっていた。ゆっくり足を進めながらも、視線だけはつい上を向いてしまう。  ……綺麗だ。  木々の境目から覗く部分しか見えないけれど、祭りの会場で見上げていたそれとはすでに別物だった。普段は星がただ点々と存在していただけで、そんな夜空も嫌いではなかったけれど、寄り添い合った細かい星々はまるで薄い雲のようにも見えて、これが夜空の本当の姿なんだと思うと、感動が絶えなかった。  彼が言っていた場所は、これ以上なんだろうか。  そう考えると、自然と少し早足になっていた。このまま真っ直ぐ進めば小学校の近くまで行ってしまう。あまり目立たないけど小さな脇道がある、と彼は言っていたけれど。  この森は意外と単純な構造をしている。小学校までの一本道はとても分かりやすく伸びているし、その間にいくつかある小さな脇道に入ったとしても、早々迷うことはないと思う。  それに意外と夜目も利くみたいだ。これなら、案外昼間と大差はないかもしれない。
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