親方、棺桶から女の子が!

1/11
前へ
/11ページ
次へ

親方、棺桶から女の子が!

「いやあ、若い女の子が入社するっていうから、期待してたんですけどねえ。」 トラックに乗ったとたんに、翔が口を尖らせた。 「良かったじゃねえか。職場に花が咲いて。」 ひろしが、そう言って、エンジンをかけると、わざとらしく翔は、はあっと溜息をついた。 「あれのどこが花なんすか。根暗眼鏡じゃないっすか。」 「案外、眼鏡を取ったら美人かも知れねえぞ。」 ひろしがそう言うと、翔は首をブンブンと横に振った。 「いやいや、美人なんて、眼鏡してたってわかりますって。あぁ~あ。」 ひろしは苦笑いした。会社に何しに来てんだか。 ひろしと翔は解体業の会社に勤める同僚で、翔はこの春入社したての新入社員。 3月に入社した事務員の女性が5月に妊娠が発覚して出来ちゃった婚で退社したため、急遽募集をかけると、すぐに次の事務員が見つかった。翔は、3月に入社して退社した子にも、いろいろちょっかいをかけていたようで、彼氏が居たことと、結婚退社がショックだったようだった。それゆえ、次に入社する女性にも興味津々だったようで、入社した女の子を見て、がっかりしたようだ。 まったく、この男は、女のことしか頭に無いのか。     
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加