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親方、棺桶から女の子が!
「いやあ、若い女の子が入社するっていうから、期待してたんですけどねえ。」
トラックに乗ったとたんに、翔が口を尖らせた。
「良かったじゃねえか。職場に花が咲いて。」
ひろしが、そう言って、エンジンをかけると、わざとらしく翔は、はあっと溜息をついた。
「あれのどこが花なんすか。根暗眼鏡じゃないっすか。」
「案外、眼鏡を取ったら美人かも知れねえぞ。」
ひろしがそう言うと、翔は首をブンブンと横に振った。
「いやいや、美人なんて、眼鏡してたってわかりますって。あぁ~あ。」
ひろしは苦笑いした。会社に何しに来てんだか。
ひろしと翔は解体業の会社に勤める同僚で、翔はこの春入社したての新入社員。
3月に入社した事務員の女性が5月に妊娠が発覚して出来ちゃった婚で退社したため、急遽募集をかけると、すぐに次の事務員が見つかった。翔は、3月に入社して退社した子にも、いろいろちょっかいをかけていたようで、彼氏が居たことと、結婚退社がショックだったようだった。それゆえ、次に入社する女性にも興味津々だったようで、入社した女の子を見て、がっかりしたようだ。
まったく、この男は、女のことしか頭に無いのか。
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