夜空への願い事

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夜空への願い事

 満天の星。そう呼ばれる空が確かに在った。その夜空を前にすると、人は願いを託さずにはいられないという。  今、僕の頭上に広がるのは暗い夜空。星は瞬くことを止め、星を降ろしてきたように地上に光が満ちている。夜空と地上の輝きが反転したのはいつからだったのだろうか。誰もが星に願いを託せる、そんな時代は過去のものになった。  僕は――不幸にも星に願いを託すことを世界に許された。  だから、僕は決して星に願いを託してはならない。 
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