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『教会の前にタンク4、ドローン20。さらに周囲にタンク8、ドローン40』
口を動かさずに報告を発する。僕が確認した時点で、即座に地図上には敵性を示す赤のマーカーが置かれている。
『80%を超えてる。時間が無い。ルートはこれで行くよ』
脳に直接送り届けられる応答は、ハスキーな女の声。この隊のリーダーを務めるルイーザの声だ。
体にナノマシンを埋め込み五感に電子情報を重ねて体感できる兵士を指して、機械歩兵と呼ぶ。僕らはリアルタイムに電子情報を参照し、駆使する兵科だ。例えば、通信を行う相手を選ぶのに何かの操作も、身振りも必要無い。誰と繋がった通信かも直感で理解できる。ただ思考のみで意思の疎通をやり遂げるのは、ナノマシンという装備の扱いに長けた僕らの強みの一つだ。
戦争で使用するには未だコストが追いついていないが、小規模な編成で運用する特殊部隊としては本格的に運用が開始されている。 ルイーザによって示されたルートは、教会までをほぼ最短経路で結んでいた。二人を振り返ると締まった体付きをした小柄な男、アレクシスが肩を揺らして溜息をもらす。
『どう見ても、弾が雨あられってコースっすね』
『その分ここまでは楽だったんだ。文句は聞かないよ』
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