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ヘルメットで表情は伺えないがアレクシスの言葉を、ルイーザが真面目に捉えていないのはよくわかる。
確かにルートは戦車の射線に飛び込む形になっており、左右からも挟撃を警戒する必要がある。幸いなのは、花壇や木々で飾られた中庭であることか。これで遮蔽物さえなければ、正に死地であっただろう。
『あたしが先頭。アレクシ――いや、カイルが援護だ。教会の中はアレクシスに任せる』
『妥当っすね。エスコート頼みます』
『……了解』
間のあいた返答に、ルイーザが僕を見る。ヘルメットのバイザー越しに視線を交差させると、嘆息するように首を小さく振ったルイーザが、僕らに声をかけた。
『行くよ』
短い言葉。それが合図だ。
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