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リアルタイムに変動する危険域が、僕の視界に薄くサーモグラフィのように色付けされて示される。自分の周囲が時間を重ねるごとに黄色からオレンジ、赤へと変わっていくのを見ながら、僕はトリガーを絞り続けた。
足を止めている暇はない。見れば、もう教会前の多脚戦車にルイーザが到達しようとしていた。
危険域から脱するように位置を変えながら、教会前のドローンを更に一機落とす。
それと同時、鈍く重い、金属の打ち合う音が中庭に響いた。鋭く戦車の一台に下側から潜り込んだルイーザが、重量感のある戦車を持ち上げて隣に並ぶ同型機に投げつける。そのまま倒れた戦車に組み付き、脚をむしり取ると、近くのドローンに戦車のパーツを投擲し始める。原始的極まりない方法でドローンを牽制しつつ、教会前の戦車を片付けてそのままバリケードへと組み替えていった。
『いいかい、アレクシス! 時間が無い。わかるってるね!』
『わかってますよ! くそっ、もう90%かよ! 伸び方異常だろ!』
一瞬、ルイーザの人間離れした攻勢に呆けかけるが、通信を受けて僕も走る。アレクシスは既に教会の中へと姿を消していた。
僕を含めた三人の機械歩兵は、それぞれ個性を着けたチューニングをされている。ルイーザが強襲、僕が索敵、アレクシスが援護に特化している。彼女の援護はアレクシスが適任で、必然的に教会の中へ行くのは僕だったはずだ。
『カイル! 早く来な!』
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