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町に1つしかない本屋にたどり着くと、深く深呼吸をする。
さて、どのくらい時間を稼ごうか……。
大型書店と違って、個人の経営する本屋の棚は、中学生のマユコには無関係な専門書のコーナーをすべて回ったところで、30分の滞在が限界だった。
古いレジの置かれたカウンターに座る店主に会釈をし、もう一度漫画雑誌のコーナーに戻ると。
ワタカベ・サトリ君がいた。
「あ、ドM……」
と声に出しかけて、思わず口元を抑える。
気配に反応したワタカベ君が振り返ると、マユコを見て「ああ……」とだけ声をあげる。
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