飛び込み、泳ぐ

3/5
前へ
/100ページ
次へ
町に1つしかない本屋にたどり着くと、深く深呼吸をする。 さて、どのくらい時間を稼ごうか……。 大型書店と違って、個人の経営する本屋の棚は、中学生のマユコには無関係な専門書のコーナーをすべて回ったところで、30分の滞在が限界だった。 古いレジの置かれたカウンターに座る店主に会釈をし、もう一度漫画雑誌のコーナーに戻ると。 ワタカベ・サトリ君がいた。 「あ、ドM……」 と声に出しかけて、思わず口元を抑える。 気配に反応したワタカベ君が振り返ると、マユコを見て「ああ……」とだけ声をあげる。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加