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卓球部の部長を務めていたマユコだが、春の大会を最後に引退していた。
地区では毎回ベスト4に入る、というそれなりに強いチームではあったけれど、それ以上でもそれ以下でもない。
夏が来ると同時に、3年生は退かざるを得ないのだ。
「皆が受験できるわけでもないのにね」
部活を辞め、帰宅が早くなったことを一番に喜んだのは母だ。
「マユちゃんと、たくさん話せるわね」
これまでだって、充分に話していたと思うのだけど。
夏の日の長さも手伝って、明るい時間から母と2人きりで過ごすのは、何となく憂鬱だった。
それでも帰る場所は、ここしかない。
「ただいま」
静かにドアを開ける。
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