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「何してるんですか!」
ベッドの柵にシーツを引っ掛け、首を括ろうとしていたら、後輩に見咎められた。
「放っておいてくれ。もう嫌なんだ。生きている意味が見出せない。毎日が辛い。辛い。辛いんだ・・・・・・」
伏せた顔から涙がこぼれる。
そんな俺を揺さぶり、後輩ーー高坂は必死の口調で言い募る。
「駄目ですよ、何言ってんですか。やめて下さいよ。先輩には、佳織さんが・・・・・・」
「いないよ。佳織とは、別れた。もう俺には誰もいない」
高坂は絶句した後、大きく首を振った。
「お願いします。先輩。生きて下さい。お願いしますから」
「もう放っておいてくれよ、高坂。お前には、関係ないだろう」
「・・・・・・お願いします」
高坂は俺の腕を掴んだまま、深々と頭を下げた。
ぽたり、ぽたりと、その足下に水滴が落ちる。
何でだ。
何故、こいつは俺を放って置かないんだ。
何故ーー見捨てないんだ。
俺は途方に暮れて、窓へと視線を泳がせた。
哀しくなるくらい青い空が俺達を見ている。
しばらくして、高坂が小さく呟いた。
「・・・・・・俺が先輩の半分になります」
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