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それから、女の子とは少しずつ会話をするようになり、、
花束を持っていくのは、病院に入院している、お母さんの所らしい。
お父さんは?と聞くと
「お父さんは、お仕事が忙しいの」
と悲しげに、話してくれた
「ワンピース可愛いね」
「これはね、ママが作ってくれたの」
「そうなんだ。可愛いね」
「うん。お母さんね料理も裁縫も、上手なんだ~」
コロコロ笑いながら話す女の子
「それとね、それとね、いっつも寝る前は絵本を読んでくれてね、ホットケーキにクマさんの絵、書くのも上手なの。あとね、あとね……」
無邪気に話す女の子が可愛くて
僕はつい…
何も考えずに
「お母さん、早く退院できるといいね」
などと軽く言ってしまった。
そんな、ある日の宿直での事だった。
ここの会社は見習い車掌に週一回、宿直をさせて勉強会が行われる
その宿直の日の、夜に先輩から指摘を受けることとなった。
「最近、君が誰もいない場所に向かって話してるって気味悪がる 常客がいるんだが、本当なの?」
……え?
固まる俺は、先輩が何を言ってるのか分からなかった
「どうしたの?ちょっと疲れ溜まってきた?」
「いや、あの…… 確認なんですが… 僕が今、担当してる電車に白いワンピースの8歳くらいだとは思うんですが、花束を抱えた女の子…乗ってきますよね?決まって13:00に。たしか、先輩 一緒に乗ってた日もいましたよね?」
ただ、確認するだけだった
僕は別に疲れてるわけでもないし、変になったわけでもない。
何もない、場所に話しかける程、狂っちゃいない。
ただ、それを確認したかった。
だが………
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