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魔法使いたちが初めて卵を育てるわけで、及び腰だそうだ。そこで、うちの優秀なリオ君の出番となるわけです。
リオは泊まりだけは嫌だと抵抗したそうだが、ウーゴに泣きつかれ、ネイトとオーバンに縋りつかれ、マーヤの下っ端でしょ発言は切って捨てたが、結局夕食と朝食には帰るけど、基本は泊まりとなってしまったとぼやいている。
じゃあ夜は一人で寝るのかと、俺もがっかりである。
「すぐ戻るのか?」
「うん。けっこう不安定な状態だから。クリスは、……やっぱ来ないのか?」
「無理。ごめんなリオ、あそこには行けない」
ぎゅうっと抱きしめ合い、それほどオーバンが嫌なのかと聞かれて頷いた。
オーバンの罪はトールが持って逝ったから、最後の願いだから殺しはしない。
だけど、だからといって、憎しみが消えるかといえばそんなことはないのだ。
あいつを見れば俺はアルを思い出すし、アルを返せと言いたくなる。
そんな姿をリオに見せるのは嫌だし、俺もそんなことはしたくない。アルもトールも、それを望んでいないのだ。
ままならない感情に振り回されてしまう、そんな自分を想像しただけで嫌気がさす。
「何かあったらすぐに結界を起動しろよ。絶対に、巻き込まれないでくれ」
「わかった」
リオと家の中に戻り、キスを繰り返して念を押す。
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