1135人が本棚に入れています
本棚に追加
/169ページ
指から結界魔道具の指輪を外し、リオに渡した。
「リオだけでずっと見れないだろ。交代のときにリオがこれを持っていないのは心配だから、一緒に世話する奴に貸してやってくれ」
「クリスは?」
「俺は自力発動できるから、必要ないんだ」
「わかった、使わせてもらう」
朝と夕方は帰るからと言い、リオは自動ドアの向こうへ行ってしまった。
しょんぼりと肩を落としてサロンへ行き、煙管に葉っぱを詰めて椅子へ沈み込む。
煙をぷかりと浮かし、ウーゴへ一方的な念話を飛ばす。
<リオに何かあったら魔法使い全員、連帯責任で抹殺>
あいつらリオだけに押しつけないといいんだけど、と煙とともに吐息を漏らした。
夕方になり、サロンから出てキャベツを銅貨五枚で販売した。
高いと言われたが無視し、値引き交渉には一切応じなかった。今日は機嫌が悪いのです。それでも売れる、美味しいキャベツです。
全部売れたところで魔力の揺れを感じ、家の結界を起動して中へ走って戻る。
「ただいま」
「おかえり」
勢いよくリオに飛びつき、そのまま抱き着き虫となり料理の邪魔をする。
まあ邪魔をするといってもリオは気にしないんですけどね。むしろ喜びの感情一色になるのでいいのです。
最初のコメントを投稿しよう!