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「しねーよ! 風呂入ってとっとと寝るっつの」
ちゅーっと口をくっつけてから、出かけて行くリオを見送った。
黒の自動ドアが消え、途端に静寂が部屋を支配して眉を寄せる。
テレビも何もないから、一人だと静けさが際立つ。
前はこれが日常で、普通に過ごしていたはずなのに。今ではこの状態が異常だと感じる。
これは、もしかして相当ヤバいんじゃないかと苦笑して、屋上へと移動した。
風呂に入り、夜に一人で入るのはいつぶりだろうと考える。すぐにその考えを振り払い、リオは大丈夫かなと夜空を見上げた。
橙色の月が、湯気に滲んで大きく見える。
海に浮かぶ月はよく見ていたけど、こんな色じゃなかったなと目を細めた。
俺の月のイメージは、白だ。満月のときがこんな橙っぽい色だった気もする。ちょっと不気味で、怖かったな。
ゆっくりと身体を伸ばし、全身を弛緩させる。
最近こうして湯に浸かるだけというのがなかったから、少し新鮮だ。毎度悪戯されているからな。
胸もすぐ性感帯へと変わってしまい、今じゃどこもかしこもリオの愛撫に反応してしまう。
怖いなー、と月を眺めてため息を落とす。
風呂から出て、一人で寝室へ向かいベッドに転がる。
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