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「いやそれは困る。ほら、飯作るんだろ? クリスのこと降ろせよ」
リオの行動に半眼となっているウーゴへひらひらと手を振り、居間へと移動する。
もちろん俺はリオに抱っこされたままです。
「えー……いつもこんなっすか?」
「まあだいたい似たようなもんかな。でもほら、俺ら丸一日離れるとかほとんどなかったから、重症ではある」
厨房で俺を降ろしたリオの背中に張りつき、ウーゴへ笑いかける。
「リオ、それ邪魔じゃないのか?」
ウーゴは俺を指差してリオに尋ねているが、失礼な奴だ。人を指差すんじゃありません。
「邪魔なわけねーだろ。俺のためにしてくれてんだから」
「邪魔をか?」
「俺がして欲しいことしてくれてんだよ」
キャベツを掴み、包丁でダンダンと切るリオに苦笑する。
「俺もしたいからしてんだけど?」
「……クリス」
包丁を置き、くるりと反転して俺を抱き込むリオの手が、するりとスリットから背中へと回る。
「今すぐ風呂行こ」
「待て待て、ウーゴがいるだろが飯! リオさん飯をください!」
「んじゃ煽るなよ」
また反転してキャベツを切るリオに、もしかしたら俺以上に重症なのかと、ニヤニヤしながら張りつく。
「うわー……ここまでとは思わなかった。なんか悪いな、俺まで来ちまって」
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