第3章 すれ違う二人

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凍える冬と、手に汗にぎる受験の合否発表が落ち着いてきた頃、久しぶりに高校に行くと受験を終えたクラスメートたちは既に卒業モードだった。 お互いの進路を伝え合い、卒業旅行の企画をしていた。 私は希望の私立大学に進むことを決めた。 そして、アンニュイ野郎も無事映画学科へ進むことが決まったという。 そんなとき、ある女友達が私にこう言ってきた。 「アンニュイ野郎ね、Kさんと付き合っているけど、告白されたときは一度断っていたんだって。フッた理由なんだと思う?」 「なに?」 私は興味無さそうに訊いた。 「Mのことが好きだから、Kさんとは付き合えないって。Kさんはそれでもいいから、付き合って欲しいってアンニュイ野郎に頼み込んだんだって。」 私は言葉を失った。
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