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「略奪女」
私が、そう呼ばれるきっかけとなった男がいる。
ここでは、彼がまとうアンニュイな雰囲気から、彼のことを「アンニュイ野郎」と呼ぶ。
アンニュイ野郎と出会ったのはかれこれ10年前であろうか、私が高校2年生のときである。
クラス替えで同じクラスになった彼は、出席番号が前後であったことから、私の後ろの席に座っていた。
彼のことは高校1年生のときから存在は知っていたが、話したことはなかった。
彼は180センチ近くあり、健康的な細マッチョといった体型で、目はパッチリ二重で、
見た目はイケてる方だった。
ただ、よく喋るが、どことなく地に足がついていないような、フワフワした性格をしていた。
わたしは、このとき、アンニュイ男のことは好きでも嫌いでもどちらでもなく、
ごく普通のクラスメートの一人だった。
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