第1章 ことのはじまり

2/7
前へ
/23ページ
次へ
「略奪女」 私が、そう呼ばれるきっかけとなった男がいる。 ここでは、彼がまとうアンニュイな雰囲気から、彼のことを「アンニュイ野郎」と呼ぶ。 アンニュイ野郎と出会ったのはかれこれ10年前であろうか、私が高校2年生のときである。 クラス替えで同じクラスになった彼は、出席番号が前後であったことから、私の後ろの席に座っていた。 彼のことは高校1年生のときから存在は知っていたが、話したことはなかった。 彼は180センチ近くあり、健康的な細マッチョといった体型で、目はパッチリ二重で、 見た目はイケてる方だった。 ただ、よく喋るが、どことなく地に足がついていないような、フワフワした性格をしていた。 わたしは、このとき、アンニュイ男のことは好きでも嫌いでもどちらでもなく、 ごく普通のクラスメートの一人だった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加