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あと数日で死ぬなら何をしても無駄ではないか。
あと数日あるなら何か出来ることを精一杯したい。
相反する思考が昨日から頭の中で争っていた。
一人でいるとそればかり考えてうんざりする。
咲羅は人混みに埋れて姿を確認することが出来なかった。
早く駅についてほしい。
とにかくそれだけを心の中で繰り返しながら吊革を強く握りしめた。
「おはよ。人が多すぎてそっちまで行けなかった」
最寄り駅で降りると咲羅が先に待っていて、口を尖らせながら呟いた。
「おはよ」と俺も苦笑しながら挨拶を返す。
電車の中で考えていた提案をすると咲羅も快く同意してくれた。
「早起きするのは得意だから大丈夫!」
「ふは、想像どうりだ」
「どういう意味?」
「夜に弱そうなイメージ」
馬鹿にしたつもりはないのだけれど、咲羅が無言で腕の辺りを叩いてくる。
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