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◇
「びしょぬれになっちゃったね」
日が沈みかける頃に漸く雨が上がり、俺たちは駅までゆっくりと歩いていく。
水分を吸った靴が歩く度にきゅっきゅっと音を鳴らして気持ち悪い。
恐らく咲羅も同じだろう。
小さな折りたたみ傘では強い雨も凌ぎきれず、制服もだいぶ濡れてしまった。
「帰ったら怒られそうだ」
「銀河くんなら上手く言い訳できそうじゃない」
「俺にどんなイメージ持ってるんだよ」
「なんか、ああ言えばこう言うって感じ」
俺が無言で頭を掻き混ぜると、咲羅は楽しそうに悲鳴をあげながらはしゃぐ。
人がまばらの電車に乗り込んで、二人で出入口付近に立った。
未だ残る雲の隙間から夕焼け色の空が顔を出す。
「あの隙間から、真っ赤なドラゴンが出てきて、街中を火の海にしたどうする?」
同じものを見ていた咲羅が唐突に口を開いた。
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